小学生のプログラミングが必修になる令和の時代。学業や仕事とパソコンは、ますます切っても切れない関係になっています。
そこで重要になってくるのが、タイピングのスキルです。仕事の文書や授業のレポートを作成する時、タイピングができないと不便ですよね。
では、いざ文字を打とうとキーボードを眺めてみると……右下に小さく日本語が書いてありますね。
そう、キーボードにはアルファベットだけでなくひらがなが割り振られていて、直接日本語にのひらがなを入力するかな入力ができるのです。
「かな入力でいいかな、簡単そうだし…」とお考えの方。
ちょっとお待ちください!
かな入力よりもローマ字入力を覚える方が、メリットがたくさんあるんです。
この記事では、タイピング初心者が最初にローマ字入力を覚えるべき理由を解説します。
※かな入力をしている方を批判する意図はありません。この記事はあくまでも、これからタイピングを覚える方にローマ字入力を勧めるものです。
ローマ字入力を覚えるメリットは多い
日本語も英語も打てるようになる
かな入力で英語は打てませんが、ローマ字入力をマスターすれば日本語と英語の両方を打つことができるようになります。これはローマ字入力を覚える一番のメリットと言えるでしょう。
英語を使う方(特に学生)は結局ローマ字入力を使うことになるので、最初からローマ字入力を覚えてしまうと便利です。
2020年現在大学生である私の世代では、高校生の時に英語のエッセーをパソコン(Word)で制作して提出していました。
大学の授業でも、メールを英文で打って提出することがあります。そもそも英語しか使えない授業だってあるのです。
今後さらに英語・パソコン教育の導入が盛んになるでしょうから、学生は日本語を入力できるだけでは不十分です。
また、今はやりのプログラミングに興味がある方にとってもローマ字入力は必須です。多くのプログラミング言語はローマ字入力でないとコーディングできません。
かな入力よりも覚えやすい
ローマ字入力で日本語を入力するのに必要なキーは29個です。
数字は順番に並んでいるので覚える必要はありません。
かな入力よりもキーが少ないので、楽に早く習得できます。
一方かな入力では、そこから19個増えて48個になります。
Shiftキーとの組み合わせで打たなければならない文字もあるため、新しくかな入力を学ぶ方への負担は大きいです。
かな入力をマスターしている方の反論として、以下のようなものがあるでしょう。
「かな入力であろうと覚えるのは簡単だ。少しキーが増えることなんて、たいしたことではない。」
しかし現実はそう甘くありません。
2017年、京都府の立命館大学の学生568名を対象に、パソコンのタイピングについてのアンケートが行われました。
タッチタイピング習熟度
ほとんどキーボードを見ずに入力している 14.4%
たまにキーボードを見ながら入力している 38.7%
頻繁にキーボードを見ながら入力している 35.6%
ほぼずっとキーボードを見ながら入力している 11.3%引用:大学生のスマートフォンとPCでの文字入力方法
https://gakkai.univcoop.or.jp/pcc/2017/papers/pdf/pcc041.pdf
関西の難関私立大学「関関同立」に名を連ねる立命館大学の学生でさえ、「ほとんどキーボードを見ずに入力している」すなわちブラインドタッチができる人は14.4%という結果でした。
レポート等で頻繁にパソコンを使用する学生であっても、ブラインドタッチができる人はわずかであるという現状です。
意欲をもってタイピング練習をする人は少なく、大半は特にこだわりがないのだと言えます。
よって、タイピングに特にこだわりの無い多くの方には、かな入力よりもローマ字入力の方が簡単で覚えやすいのでおすすめです。
ローマ字入力では打つキーの範囲が狭いため、ブラインドタッチも比較的簡単です。
かな入力より小指の負担が小さい
標準運指で小指が担当するキーに赤色の枠をつけると、下の図のようになります。
標準運指で小指が担当するキーの数を、ローマ字入力とかな入力で比較してみます。
(それぞれのキーの使用頻度を気にすると複雑な話になってしまうので、今回は考慮しません)
- ローマ字入力 5個+Shiftキー
- かな入力 16個+Shiftキー
小指が担当するキーの数は、かな入力がローマ字入力の3倍以上です。
加えて、かな入力では拗促音(ぁ,ぃ,ぅ,ぇ,ぉ,ゃ,ゅ,ょ,っ)の入力でShiftキーを多用するため、小指の負担は相当なものです。
短く不器用な小指は打ちにくいですし、あまり使いすぎると手を痛めて腱鞘炎になるリスクも高まってしまいます。
※最適化(運指の変更による効率化)や親指シフト(親指シフト - Wikipedia)などの解決法もありますが、初心者向けではありません。
一方、ローマ字入力であれば、そこまで小指に負担が集中せずに済みます。それぞれの指にバランス良くキーが割り振られていて、比較的楽に打てるのです。
人差し指の担当するキーは多めになっていますが、一番器用な指なのでストレスは少ないと言えます。
数字や記号の入力時にモードの切り替えが不要
かな入力で数字や記号を打ちたい時は、英数モードに切り替えなければなりません。
種類の多いひらがなを全文字打てるように、数字や記号のキーにまでひらがなが割り振られているためです。
ローマ字入力であればそのまま数字や記号を打つことができるため、その手間を省くことができます。
ローマ字入力の方が普及している
日本人は“大人”になるとローマ字入力になるらしい by遠藤諭 - 週刊アスキー
2015年のこの記事では、ローマ字入力を使用している人は93.1%、かな入力を使用している人は5.1%という調査結果があります。
これほどローマ字入力が流布している現代では、かな入力を使用していると思わぬハプニングに巻き込まれることも考えられます。
以下の例は、私がこれまでに体験した、または耳にしたものです。
- 学校にて
先生「今日はタイピングの練習をします」
生徒「はーい」
先生「ローマ字と日本語はこのように対応していて…」
私「かな入力はやらないんですか?」
先生「かな入力できるの?みんなローマ字入力を勉強することになっているから、ローマ字の勉強しようね」
私「はーい」
- 職場にて
A「わ、でたらめな文字が出てくるぞ」
B「すみません、かな入力に変えたままでした」
A「共用のパソコンで入力方法を変えるなよ」
B「入力方法くらい、すぐに変えられるのに…」
あくまで一例にすぎませんが、このように多数派であるローマ字入力に合わせることを強制される場面があるかもしれません。
最初からローマ字入力を覚えておけば、このリスクを回避できます。
かな入力を覚えるメリットは少ない
かな入力をしっかり練習すれば日本語入力が速くなる
ローマ字入力はひらがな1文字に対して2打必要なことが多いため、かな入力と比較して1.5倍ほどの打鍵数になってしまいます。
よって、しっかりと練習することが前提にはなりますが、かな入力の方が日本語を速く入力できます。
ただ、話はそれほど単純ではありません。
例えばタイピングの日本一決定戦であるRTCでは、3年連続でローマ字入力の選手が優勝しています。かな入力の選手と同じ文章を打っているのにも関わらずです。
かな入力がローマ字入力よりも圧倒的に有利とは言い切れません。
ブラインドタッチをマスターしてかな入力を使いこなす自信があるなら、ローマ字入力だけでなくかな入力を覚えるというのもありだと思います。
しかし文章入力の速度にこだわりがない方であれば、覚えやすく便利なローマ字入力を練習するべきです。先ほども述べた通り、多くの方はブラインドタッチをマスターできないまま生活しているからです。
かな入力はローマ字を覚えていない小学生でも打てる
小学生だと、ひらがなは読めてもローマ字は読めない子が多いです。
ローマ字を覚えていない小学生でもパソコンで文字入力が出来るという点において、かな入力は優れています。
ローマ字を読めない子どもがタイピングをする機会に出くわし、その結果かな入力を覚えることもあるかもしれませんね。
しかし、ローマ字(アルファベット)はどうせ後から覚えることになるので、タイピングを通して早いうちに覚えてしまう方がよいです。
ちなみに、私は小1でローマ字を覚えてタイピングを始めました。タイピングのおかげでゲーム感覚で学習できたので、すんなりとアルファベットを覚えることができました。
もしローマ字を覚えることが大きな負担になってしまう小さなお子さんであれば、そもそもタイピングを覚えさせることが時期尚早かもしれません。
まとめ:これからタイピングを練習するならローマ字入力がおすすめ
ローマ字入力・かな入力のメリットを比較すると、2020年現在では、ローマ字入力ができる方が便利な場面が多いです。
これからタイピングを練習するぞ!という方や、子どもにタイピングを教えたい!という方には、ローマ字入力をお勧めします。
タイピング初心者が効率よく上達できる練習法は、こちらの記事でご紹介しています!