自動車の免許取得と言えば、多くの方が経験するイベントの一つですよね。
近くの自動車教習所や、合宿免許で取得する方が多いと思います。
しかし、自動車教習所に通わずに運転免許を取得することもできます。
それが一発試験(いわゆる飛び込み試験)を受験する方法です。
運転経験ゼロだった私ですが、自動車教習所に通わずに一発試験でMT普通免許を取得しました。
この記事では、その経験を活かして
- 自動車教習所と一発試験の違い
- 一発試験にかかる費用
- 一発試験の難易度
について、少しでも興味がある方の参考になる情報をご紹介します。
自動車教習所と一発試験の違い
自動車教習所
免許取得者の98%以上は、図の左側「自動車教習所」に通っていると言われています。
ほとんどの方は自動車教習所に入校して免許を取得していることになりますね。
自動車教習所では60時間近い講習を受ける必要があるものの、多くの方が安心して免許を取得できるのが特徴です。
入校してからは、だいたい以下のような流れになります。
- 学科・技能講習(場内)
- 修了検定(仮免技能試験)
- 仮免学科試験
- 学科・技能講習(路上)
- 卒業検定(本免技能試験)
- 教習所を卒業
- 本免学科試験
合計で技能試験に2回、学科試験に2回合格する必要があります。
技能試験はすべて教習所で受けることができますが、ラストの本免学科試験だけは運転免許試験場で受験する必要があります。
かかる費用は教習所や車種などによって変わってきますが、
普通一種免許であれば25~30万円で取得できる教習所が多いです。
合宿免許であればさらに安くなり、20万円未満で取得できるプランもあります。
一発試験
免許取得者のごく一部は、教習所に通わずに一発試験を受験しています。
同じ日に一発試験を受験した方のうち数人とお話をしましたが、いずれも免許失効や取り消しなどで再取得を目指している、とのことでした。
年齢別のデータはありませんが、30代以上の方が多い印象があります。始めての免許取得で一発試験にチャレンジする方はごくわずかです。
流れをまとめると以下のようになります。
- 各自で勉強・運転練習
- 仮免学科試験
- 仮免技能試験
- 各自で5日以上の路上練習(義務)
- 本免学科試験
- 本免技能試験
4回あるすべての試験を、各都道府県の警察が管理する運転免許試験場で受験します。自動車教習所とは順番が逆で、学科試験が先、技能試験が後です。
注意点として、仮免許を取得した後に5日間路上での運転練習を行い、申告書を提出する必要があります。
技能と知識さえ身についていれば、必要最低限の時間・費用・労力で運転免許を取得することができるのが特徴です。
※上の図には載っていませんが、全ての試験に合格した後、免許取得時講習(高速道路での運転シミュレーションや救命講習など)を受けなければなりません。
一発試験にかかる費用
- 仮免学科試験 2,900円
- 仮免技能試験 4,350円(受験料2,900円、車両使用料1,450円)
※1回目の受験は車両使用料1,450円のみでよい。2回目以降の受験には4,350円かかる。 - 仮免交付手数料 1,150円
- 本免学科試験 2,550円
- 本免技能試験 3,350円(受験料2,550円、車両使用料800円)
※1回目の受験は車両使用料800円のみでよい。2回目以降の受験には3,350円かかる。 - 免許交付手数料 2,050円
- 免許取得時講習 15,400円
合計 26,300円
※普通一種免許、2020年11月現在
運転の知識・技能がもともと身についていて、すべての試験を1回で合格できる方であれば、なんと3万円未満で普通免許を取得することができます。
しかし、実際はそんなにうまくはいきません。
一発試験での免許取得により多くの費用がかかってしまう理由は主に2つあります。
- 運転の練習に費用がかかる
- 技能試験の難易度は高く、何度も試験を受ける人が多い
順に説明していきます。
運転の練習に費用がかかる
免許の失効や取り消しでの再取得であれば、運転経験があるので、そこまで多く練習する必要は無いと思います。
ただし、長年の運転で悪い癖がついてしまっている場合、試験に合格するために矯正する必要があります。
一方、私のように未経験から運転を練習するとなると、何時間も練習しなければなりません。
練習する場所や車の確保ができる場合は安く済みますが、そうでない場合は自動車練習場での講習や貸しコース・貸し車両などを利用して練習することになります。
私は運転練習で頼りにできるツテがまったくなかったので、運転免許試験場の近くにある自動車練習場で練習を重ねました。
その結果、かなり多くの練習料金を支払いました。(詳細な金額は後述)
一発試験の難易度は高い
インターネットの記事では5%だの14%だの、いろいろな情報があります。
しかし、そもそも試験場や試験官によって合格のしやすさにはバラツキがあるので、正確な数値を求めることにあまり意味はないと思います。
ただ、教習所での合格率(70~80%程度)と比べると、運転免許試験場での技能試験の合格率はかなり低くなっていると言えるでしょう。
参考として、私は仮免技能試験・本免技能試験ともに4回目で合格しました。
合計で8回技能試験を受けたことになります。他の受験者も一緒に受けているのですが、私の直前の受験者が合格したのは8回中2回だけでした。
同じ日に受験した方にお話をうかがうと、
「おたく何回目ですか?私4回目なんですよー(笑)」
「ここはな、1回や2回じゃそうそう合格できひんで…」
などという苦しい声をたくさん聞きました。
また、私は運転免許試験場の横にある自動車練習場で運転の講習を受けていたのですが、そこの教官にお話をうかがうと
「早い人は2,3回で受かる。受からない人は何回受けても受からない」
という恐ろしい言葉をいただきました。
あくまでも主観ですが、私も実際に受験してみて、かなり採点基準が厳しくなっていると感じました。
思わぬところで何度も減点され、試験途中で70点を切ってしまい中断されることも珍しくありません。
採点基準自体は自動車教習所でも同じで、道路交通法に則った安全かつ円滑な運転ができるかが問われていると思います。
しかし、自動車教習所はあくまでも客商売。
あまりにも採点を厳しくして合格率が低くなってしまうと、その教習所は不人気になってしまいます。
その一方で、一発試験は公的機関である警察によって管理されており、受験者が少なくて困るということはありません。
ですから、道交法に則った厳格な試験が可能になります。
そういった理由から、一発試験の厳しさは際立っているのだと私は考えています。
また、運転免許試験場で一発試験を受験する方は、必ずしもきちんとした運転ルールを覚えているとは限りません。
教習所とは違い、技能講習なしで受験できるので、以前運転していた時の感覚で受験し、何度も落ち続ける方も多いです。
一方、自動車教習所では一から運転を練習する方が多いので、そういった"自己流"の運転ではなく、交通規則に従順な運転をしやすくなります。
そういった受験者層の違いも、一発試験の低い合格率に関与しているかもしれません。
運転経験ゼロの私が、一発試験でMT普通免許を取得するのにかかった費用
- 技能講習(場内) 7,800円×13回 = 101,400円
- 仮免学科試験 2,900円×1回 = 2,900円
- 仮免技能試験 1,450円×1回 + 4,350円×3回 = 14,500円
※1回目の受験は車両使用料1,450円のみでよい。2回目以降の受験には4,350円かかる。 - 仮免交付手数料 1,150円
- 技能講習(路上) 8,800円×6回 = 52,800円
- 本免学科試験 2,550円×1回 = 2,550円
- 本免技能試験 800円×1回 + 3,350円×3回 = 10,850円
※1回目の受験は車両使用料800円のみでよい。2回目以降の受験には3,350円かかる。 - 免許交付手数料 2,050円
- 免許取得時講習 15,400円
合計 203,600円
あくまでも一例です。
特に運転練習にかかる費用については、人によって大きく差が出ます。
私は運転経験ゼロからのスタートでMT車に挑戦したので、最初の場内での練習でかなり手こずりました。AT限定だと運転が安定するまでが早いので、練習費用はもっと抑えられます。
ただ、未経験でMTだと費用が大きくなるので、安く抑えたいなら合宿免許の方が良いと思います。試験も厳しくないので、精神的にも楽です。
以上、運転免許一発試験についての解説でした。質問がありましたら、ご遠慮なくコメントしてくださいね。
最初の試験である仮免許学科試験についても解説しています。
一発試験をオススメできる人とオススメできない人の特徴をご紹介しています。
私がMT普通免許を一発試験で取得するまでのストーリー